2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され
脚本賞を受賞した怪物を観に。

安藤サクラ演ずるシングルマザーと一人息子を軸に、
学校や周囲との鬱屈した日々を生々しく描きだす今作。

現代社会の問題点を描き出している感覚が強くて
生きづらい世の中になったもんだ・・・
と思いきや実は普遍的でいつの時代も変わらない。

加えてSNSに萎縮し事なかれ主義の世の中になったもんだ・・・
と思いきや実は 人々が日常を露出するツールを手にしてしまったばかりに、
その昔も同様にあった事実が目に見えやすくなっているに過ぎない。

だから、本来は特殊な存在の実数もそう変わらないから、
怪物のタイトルはそぐわないかもしれない・・・
というか少し大袈裟ではないかい? というのが正直なとこです。

作品の監督は「万引き家族」で
カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和さん、
脚本は映画「花束みたいな恋をした」やテレビドラマ
「大豆田とわ子と三人の元夫」などで人気の坂元裕二さん、
音楽は「ラストエンペラー」で日本人初のアカデミー作曲賞を受賞し
2023年3月に他界された作曲家・坂本龍一さんが手掛けられている豪華布陣。

それにしても是枝監督は「誰も知らない」でもそうであったように
子役の自然な演技を引き出すのがやはり上手い。
子役には台本は渡さずに口頭で演技指導をされるそうですが、
その手腕が遺憾なく発揮されておりました。

余談ですが、もうかれこれ20年程前でしょうか・・・
毎週気になる映画をピックアップして紹介していた自分の番組で、
トム・クルーズさんの「宇宙戦争」を観てハマらなかったので
「つまらん!」と感想を話すと、
局の営業さんからブチきれた電話が速攻でかかってきまして、
サブ(ガラスの向こうの調整卓がある所)がてんやわんやの大騒ぎに。
よくよく話を聞いたら局のスポンサー案件で
大目玉を食らったことがありました。

だから言うわけではありませんが、
怪物は見応えのある作品であることには変わりありませんので悪しからず。

<キャスト>
黒川想矢、柊木陽太、安藤サクラ、永山瑛太
高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子