東京2020パラリンピックが閉幕しました。
私はパラテコンドー日本語アナウンサーを担務。
そこには多くの学びがありかけがえのない時間となりました。
アスリート、大会関係者、ボランティアの皆さん本当にお疲れさまでした。
また、画面越しに熱き応援でその背中を押してくださった皆さん、
共に大会を支えてくださりありがとうございました。
コロナ禍、紆余曲折ある中で実施されたこの大会から
何を得て今後に如何に活かすのか・・・
しっかり向き合いこれからの歩みの糧として参ります。
9/2(木)~9/4(土)の3日間の日程で開催されたパラテコンドーは、
東京2020から新たに採用された種目です。
K44:上肢に障害があり障害程度の最も軽いクラスにて大会は行われ、
男子61キロ級/75キロ級/75キロ超級
女子49キロ級/58キロ級/58キロ超級
上記、男女各3階級によって実施されました。
パラテコンドーはパンチは使えず頭部への攻撃が禁止され、
胴への蹴りによる攻撃のみに限定されている点が健常者テコンドーとの大きな違いです。
どちらかの手が欠損していたり両手が使えなかったりするなかで
如何に防御しながら戦うのかがポイントとなり、
「足のボクシング」と言われるこの競技ならではの特性と言えます。
障害の特性、技術、戦略を一つとして戦う訳ですが、
私が印象に残っているのはウクライナ男子代表75キロ級
アントン・シャベッツ選手が障害により両手が使えず、
手が遊んでしまうため手を後ろに回し両手を固定して戦う姿。
そうなれば、胴ががら空きになりディフェンスが困難で
体の向きや距離の取り方で相手の蹴りを避けたりいなしたりして防御するものの、
やはり全ては防ぎきれず劣勢に立たされる。
けれども、相手に点数を取られてもその度に自分の間合いを計り直し、
軽くステップをして次の組手に臨む。
隙を見ては見事に蹴りを叩き込み得点を挙げる。
ジリジリと点差がついて大きなビハインドになろうとも諦めない。
何度も何度もまた間合いを計り直し態勢を整えて挑む。
私はここにこそパラアスリートの原点があると感じました。
対戦相手との勝敗もさることながら、
如何に己と向き合い戦うのかが命題であると・・・
彼はトーナメントを勝ち上がることは出来ませんでしたが、
自分自身との勝負には決して負けていない。
私にはそう映りました。
困難を克服したという話としてはもう一つ。
アフガニスタン女子代表のザキア・フダダディ選手が、
政権崩壊により国内情勢が不安定となり一時大会参加を断念していましたが、
動画で参加の意思を表明し周囲のサポートにより参加を実現したこと。
ここにも不屈の闘志を感じました。
日本人アスリートに関しては、
男子K44 61キロ級:田中光哉選手、男子K44 75キロ級:工藤俊介選手
女子K44 58キロ超級:太田渉子選手が出場し上位進出はならなかったものの、
国の威信を背負い海外の強豪を相手に一歩も譲らぬ魂の試合を見せてくれました。
東京2020パラリンピックは生きることの原点を伝えるエネルギーがあり、
そこにこの大会の本質を感じました。
どんな状況にあろうとも前を向いて生きること。
1%でも自分の中のネガティブをポジティブが上回るよう考え
日々行動に移し生きること・・・
それを 美しく強く大きな慈愛と共に体現し、
多くの学びを与えてくれたパラアスリートに心から感謝いたします。
THANK YOU!TOKYO 2020 PARALYMPICS!
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